第8回 食素材の役割のお話~ワサビ(5)~

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知ってるようで知らない
食素材の役割のお話~身近な生薬や食品添加物~


(株)常磐植物化学研究所
顧問
鳥越 泰義

- 第8回 ワサビ (5)-

 日本の伝統的な食文化である「すし」「そば」、そして「さしみ」などにワサビは欠かせない。ワサビの持つ特有の香りと辛味は、日本食ブームに乗って海外でも重要な地位を占めるようになった。ネギ、ミョウガ、ショウガなどとともに、薬味、辛味野菜の一員ではあるが、ワサビは2~3年程前から機能性香辛野菜として、大学や研究機関からその研究成果が発表されるようになった。
 2007年、名古屋市で「第一回わさびフォーラム」が開催された。副題は「世界に広がるわさびの可能性」だった。この会合は「わさびヘルスサイエンス研究会」(金印研究開発部名古屋研究所内)が主催するもので、世話人の代表は大澤俊彦教授・名古屋大学大学院。研究発表は主として動物実験や細胞レベルのものである。このフォーラムではワサビの花粉症症状の緩和作用(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学)、腫瘍の転移や増殖の抑制作用(首都大学東京大学院人間健康科学)などが報告された。
 翌2008年の「第二回わさびフォーラム」では、「高齢化社会とわさびの可能性」を副題とした。脳卒中や心筋梗塞などの多くは動脈硬化性の血栓症であるが、ワサビの摂取によって血流がスムーズになることが確認されてた。ワサビが血栓予防に有効である可能性が示唆された(三重大学大学院医学)。
 そして昨年12月4日、「第三回わさびフォーラム」では約200名の参加者があった。このときのテーマは「わさびのチカラと健康生活」。わたしたちの生態に備わる抗酸化機能は、がん、生活習慣病などの疾病の予防の面から重視されているが、ワサビの成分がこの機構に深く関与していることが報告された(鹿児島大学農学)。
 わが国特産のワサビが、古くから経験的に知られている消臭作用、抗菌作用などを利用したり、または薬味の世界から飛び出して機能性香辛野菜として広く利用される時代に向かっている。


掲載:
食品化学新聞 2010年(平成22年)1月28日