常磐植物化学研究所

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第10回 「薬食同根」・「薬膳」

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知ってるようで知らない
食素材の役割のお話~身近な生薬や食品添加物~


(株)常磐植物化学研究所
顧問
鳥越 泰義

- 第10回 「薬食同根」・「薬膳」-

 前回は、古代中国で生まれた薬食の原典、「神農本草経」について触れた。この「神農本草経」が現世の利益を求める宗教「道教」の中に取り込まれて、不老長寿を願うための食養生の指針になっている。食養生の料理として「薬膳」が中国の食生活に根付いて「薬食同根」の考えが生まれた。
 銀座の松坂屋前、かねまつビルに謝敏琪(シャビンキ)氏の中国薬膳料理「星福」がある。同氏の著書「簡単!毎日薬膳!」(PHPエル新書)で薬食同根の例として、昔母親が作ってくれたスープと粥が紹介されている。スープの食材は、ニンニク(生薬名:蒜)、ショウガ(生薬名:生姜)、ねぎ(漢名:葱)、キノコ、豆腐など。これを飲むと体が温まり、軽い寒気や咳などは消えてしまったという。粥にはミカンの皮(生薬名:陳皮)、おうれんの根(生薬名:黄連)に黒砂糖を加える。この一文から「神農本草経」にある生薬(生姜、陳皮、黄連など)と薬膳料理に使われる食材とが「薬食同根」に上に育っていることが分かる。さらに、これらの薬食材は体のバランスを整えて風邪という病に進むのを抑えようとしている。「薬膳」では薬食材の持っている五つの性質(五性)を重視している。肉、魚、穀物、野菜、果物、そして調味長などが持つ性質、すなわち「五性」で区分けする。「五性」は「熱」「温」「平」「涼」「寒」に分かれる。肉・魚介類を「涼性・寒性」、「平性」そして「温性、熱性」いずれに属する食材を考えるのが薬膳料理の大切な一面になっている。野菜をこの五性から分けてみると、大根、トマト、キュウリなどは「涼性、寒性」。これに対して、ショウガ、唐辛子、ニンニク、ネギなどは「温性、熱性」の食材となる。
 図は「西洋医学」、「中国伝統医学(中医)、漢方」そして「薬食同根」それぞれの分野で健康と病気の捉え方を示したものである。参考までに「神農本草経」の上品(上薬)には人参、甘草、茯芩、霊芝など、中品(中薬)には当帰、芍薬、葛根、黄連などが、そして下品(下薬)には大黄、附子、杏仁、桃仁などが含まれている。

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掲載:
食品化学新聞 2010年(平成22年)3月25日