常磐植物化学研究所

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第11回 サンショウ(1)

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知ってるようで知らない
食素材の役割のお話~身近な生薬や食品添加物~


(株)常磐植物化学研究所
顧問
鳥越 泰義

- 第11回 サンショウ(1)-

 この連載の第一回(平成21年5月28日)は七味唐辛子だった。このミックススパイスにサンショウ(山椒)が加えられている。日本人の食生活でサンショウはワサビと並んで代表的な香辛料の一つになっている。

 新緑の美しい山野では今、サンショウの若芽がすがすがしい芳香を放っている。サンショウには若芽(花山椒)や未熟な果実(実山椒、青山椒)を生食用に使う品種(アサクラサンショウ)と、薬用(漢方薬)、食用(粉山椒)に利用する品種(ブドウサンショウ)とがある。アサクラサンショウは主として奈良県で、ブドウサンショウは和歌山県がそれぞれ主要産地になっている。

 今回はアサクラサンショウの栽培地の一つ奈良県西吉野町湯川を訪ねてみた。品川午前6時発の新幹線のぞみに乗って京都へ向かう。京都から近鉄京都線、橿原線、吉野線、更にJRの和歌山線と乗り継いで五條駅で降りる。10時半になっていた。駅前のタクシーに乗って約20分、湯川で8代続く中西本家、博学の古老孝仁氏からアサクラサンショウの栽培と収穫について話を聞いた。栽培されている山椒はすべて、性質の強い野生の山椒を台木としてアサクラサンショウの穂木を接木して育てていく。ご子息一夫氏の案内で標高150m程度のところにあるサンショウ畠を見学した。

 接木したアサクラサンショウの1年苗、2年苗などの鉢植えが数多く整列している。5年後ぐらいから花山椒、実山椒は雌雄異株で、今雄株の新芽が花山椒として摘み取り作業の最盛期を迎えている。味付けされた花山椒は最高級の珍味として限られた予約者だけが賞味できる。売り切れ御免!皇室でも入手不可能と聞かされた。5月中旬ころから収穫が始まる未熟の果実は"青いダイヤ"ともいわれている。雌株20本程に雄株1本程の割合で増えて受粉、結実を高めている。アサクラサンショウの緑色の美しい実山椒は加工されてちりめん山椒、山椒昆布などに変わっていく。西吉野町湯川はアサクラサンショウの産地ではあるが、主力の農産物は高級品の柿で、今ハウス柿が6月頃の出荷に向けて日増しに大きくなっている。

 次回は和歌山県の薬用品種、ブドウサンショウの栽培地を訪ねてみる。

No.11sansho.png
中西一夫氏のサンショウ畠(接木後5年経過)

掲載:
食品化学新聞 2010年(平成22年)5月22日(22日・29日合同号)