インフルエンザを予防する効果のあるシナモンを使用したマスクの開発に成功
-新たな予防医療の可能性に向けて-
 千葉大学(学長 徳久剛史)( 研究代表者 大学院医学研究院 和漢診療学 並木隆雄 准教授 )は、インフルエンザの発症を未然に防ぐ効果があると注目されているシナモンを使用したマスクの基本設計を完了し、このたび実用化にめどをつけました。

 このマスクはインフルエンザの治療に用いる漢方薬にも含まれている桂皮(シナモン)を使用しています。シナモンの香り成分でもある「シンナムアルデヒド」は、口から飲用するよりも適切な量を鼻や口から吸入する手段の方が、インフルエンザ感染症に対してより高い予防効果を発揮すること が発見されています( 別添の文献 Antiviral Res 74.1-8,2007 参照)。そのしくみは、呼吸器官の細胞内においてインフルエンザウイルスの増殖過程を阻害するため、インフルエンザウイルスの型種類に関係なく作用することが解明されております。
 今回の開発成功を受け、今後マスクの安全性を目的とした臨床試験を実施(募集人員 50 名、平成 29年3月までを予定)するとともに、早期の実用化に向けて、株式会社 常磐植物化学研究所(社長 立﨑仁) 、三井化学ファイン 株式会社(社長 高橋賢作)との産学連携の共同開発を進めてまいります。
 そして、予防医療の新たな可能性に向けて、社会課題である「健康寿命の延伸」、「QOL(生活の質)の向上」に貢献することが期待できます。さらに、インフルエンザウイルスの型種類を問わず効果を発揮するマスクの特長は、従来型だけでなく、新型インフルエンザウイルスに対しても予防対策となりうることが期待できるため、 引き続きその応用可能性についても検証を進めてまいり ます。