常磐植物化学研究所

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第12回 サンショウ(2)

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知ってるようで知らない
食素材の役割のお話~身近な生薬や食品添加物~


(株)常磐植物化学研究所
顧問
鳥越 泰義

- 第12回 サンショウ(2)-

 前回はサンショウの生食用品種、アサクラサンショウについて触れた。今回はブドウサンショウを眺めてみる。この品種は成熟果実から種子を除いて厚い果皮を乾燥し、漢方薬や粉山椒の原料とするのが主な目的となっている。

 アサクラサンショウの栽培地、西吉野町へは、JR和歌山線の五條駅で下車した。ブドウサンショウ栽培地の一つを手近に見学するには、このJR線の終点和歌山に向かってもう少し乗り続けることになる。五條駅を過ぎるとやがて高野山の入り口となる橋本駅に着く。ここには大阪・難波から出る南海高野線が交差して高野山の麗、極楽橋終点へ向かっている。橋本駅を過ぎて笠田駅で下車、さらにタクシーに乗って約20分、高野山へ向かう国道480号線を途中から分かれて山へ入って行く。ブドウサンショウの栽培地は標高400m前後のところに点在している。和歌山県伊都郡かつらぎ町御所でブドウサンショウを栽培している田村俊美氏から話を聞いた。

 和歌山県のブドウサンショウの代表的産地は高野山の南西の山並みにある美里、清水である。ここには多数の栽培農家があるが標高は高く、高齢者だけが過疎地域の中でブドウサンショウを守っている。田村氏の話の中で特に二つのことが印象に残った。一つは、日本のサンショウ栽培は厳しい農薬の使用規制の中で行われており、安全・安心な農作物であるということ。もう一つは、この地域は過疎地帯であって後継者に恵まれず高齢化が進んでいる。そのため、5年後には生産量が半減してしまうのではないか...。

 日本の代表的な「山椒」の品種として、アサクラサンショウとブドウサンショウを取り上げたが、中国産のサンショウとして「花椒」が知られている。これはカホクサンショウ(川椒)の成熟した果実の果皮の部分を乾燥したものではあるが、日本のサンショウと中国のカホクショウとは原植物の種が異なっている。件子食品の原料として「花椒エキス」が知られ、動物実験で脳内アセチルコリンの遊離を促進することが明らかになった。記憶力の促進、消化管の運動亢進、さらに脂肪燃焼の促進などの作用が期待されている。

 1年間、全12回にわたり身近な食素材を紹介しまいりましたが、読者の方の知識になれば幸いでございます。長きにわたりお読みいただきまして有難うございました。

No.12sansho.jpg
田村俊美氏のサンショウ畠(ブドウサンショウ)


掲載:
食品化学新聞 2010年(平成22年)5月27日