薬業時報
昭和26年9月12日

ルチンの薬理と応用(完)
      =米国農務省農薬研究報告から=
          (常磐植物化学研究所提供)
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3.臨床試験 【細血管透過度・出血性歯齦・偏頭痛・血友病】

網膜出血に対するルチンの用法の完全な考え方は、ホウレンホルスト及びワゲナア(1949年)によって公刊された。その中で文献の批判がなされた。彼等はロウドリグエツツ及びルウトの陳述書を明らかに賛成して引用した。それは「吾々の研究は糖尿性網膜炎を伴う全ての人は実際上決定的に毛細血管抵抗が低いことを示した。吾々はルチンの一層の試みの望みあることを示唆する。尚一層重要なことはルチンの薬理学上の今後の研究を通じて吾々が長期間の糖尿病患者の網膜に関する毛細血管損傷及び他の悪くなった併発症対するルチンの早い用い方の適応症を確かめ得ることの可能性である」と述べている。

〔毛細血管透過度〕
毛細血管透過度は毛細血管脆弱度と共に血管壁の欠陥を包藏するが、透過度においては壁の欠損はなく且つ出血がない。増加した毛細血管はありのままの壁を通じて液体の異常な通過によって特徴付けられるが、血液の細胞成分は残される。毛細血管透過度は数種の方法で測りえ得る。次の二つの方法はフラボノイドの効果を決定するに用いられた。第一は皮下注射した色素の拡散を観察することによって、第二はある刺激した面積における静脈注射した色素の出現に対して要求される時間を観察することによるのである。(ボール等1949年)

第一の方法は、グリフィスによって進歩した試験に用いられ、ムクマスターの方法から採用されたものであって、色素パテントブリューが前膞に皮下注射され而して、その拡散15分間注意させる。もしも色素がその時に4分の3インチより余計に広がったならばリンパ液の増加した流れを示すと、そして間接的に透過度増加を示すと考えられる。グリフィス及びリンダウエル(1949年)により次の報告がなされた。毛細血管欠陥の患者279名の中81名は増加した毛細血管脆弱度と増加した皮膚のリンパ液流の両方を持ち、31名は増加した皮膚のリンパ液流だけを持っていた。異常透過性はこれらの著者によってルチンで容易に癒されていた。

アムブロウス及びデエヅ(1947年)は、白兎を用いて第二の方法を適用している、各動物は1%トリフアンブリュー2ccを端の耳静脈に注射された。約5分後に下腹部のある面積がクロロホルムで刺激されたパアキロ100~200mgのルチンを用いた後は、色が現れるまでに要する時間の決定的増加があった。結果はパアキロ50mgの容量の後ではより少なく示された。

クツフマイステル(1949年)は本質的な高血圧急性絲毬体腎炎、リウマチス性紫斑、悪性腎硬化、衰弱性浮腫及び中心性浮腫の例で毛細血管透過性を減ずるにルチンを用いて成功した、ルチンを中止したときに再発が起こった。

クツキンスキー(1949年)は、蛙及び二十日鼠の後足にチロウデ液を1万分の1又は5千分の1の濃度のルチンを添加しもしく添加せずして灌いだ。二つの場合において、ルチンを用いた動物は対象よりも明らかに浮腫が少なかった。彼等は毛細血管の透過性をルチンが妨げると結論したヅウボント及びヘンネスとの一緒の最近の文献(1949年)でこれらの判定を詳述している。

〔出血性歯齦〕
ストレアン(1949年)は、1日3回ルチン30mg及びアスコルビン酸50mg宛の合剤を、歯を磨いた爲又は食物を噛んだ爲歯齦出血をしている21目煮の患者に与えた。7日の後12名出血が止まった。数は2週間後に15名に増加した。1ヵ月後には18名となった。3名は難治で残った。

〔偏頭痛〕
ルチンはアンチヒスタミックを伴いアレルギーが疑われたところの偏頭痛数例に用いて結果が良かった。この使用法に関する公の文献には未だ接しない。

〔血友病〕
ルチンは患者の指図の下に血友病の症状の激しさを和らげる為に用いられた。16人の患者は二乃至五年間連続した期間観察の下にあった。主な効果は関節の出血の減少、痛みの軽減、脈拍の頻度及び外傷後の出血限度の減少並に輸血法に対するの必要僅かな例であった。処置の下にあった子供達の親はルチンの処置後に患者の状態が非常に改善し過ちない処置の継続を主張した。全部ではないがこの例の多くは患者は他の処置を今でも受けておらない。最初に学校に登校することを妨げられた多くの子供たちは病気で休むのは最小限で出席を続けることが出来た。

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ルチンの薬理と応用(1)
ルチンの薬理と応用(2)
ルチンの薬理と応用(3)
ルチンの薬理と応用(4)
ルチンの薬理と応用(5)
ルチンの薬理と応用(6)
ルチンの薬理と応用(7)
ルチンの薬理と応用(8)
ルチンの薬理と応用(9)
ルチンの薬理と応用(完)